ドラマ版「この世界の片隅に」4…
ドラマ版「この世界の片隅に」
松本穂香さん演じるすずさんもイメージにぴったりで、映画に引けを取らない傑作の予感がします。
1話に登場した屋根裏の座敷童と勘違いされた女の子を覚えていますか?
あの座敷童の女の子と「リン」は関係があるのでしょうか?
また、リンとすずさんの旦那の周作にはすずさんの知らないただならぬ関係も?
原作には描かれている描写の中で、一番映画版でカットされていたのがこの
の繋がりと、人間関係でした…
ドラマ版では、白木リン役で二階堂ふみさんが出演していますので、おそらくここは映画版とは一味違った切り口での描写が期待されます。
映画版は見たけど、原作の漫画をご覧になっていない方には初見のシーンが多く見られるでしょう。
屋根裏の座敷童の女の子と、白木リンの繋がりと、白木リンと周作の繋がりを調べてみました。
一部ネタバレになる箇所もあります。
すずさんの幼少期の回顧シーンで、すずさんのばあちゃんの家に浦野家一家で帰省した時のワンシーンです。
すずさんたち3兄弟がお昼寝をしている最中、ふとすずさんが目を覚ますとボロを身にまとった少年か少女か見分けがつかないほどにすすけた子供が屋根裏から降りてきて、すずさんたちが食べ終わったスイカの皮をかじりだします。
するとのんびり屋のすずさんは慌てることもなく、
「もっともらってきしょーか?」
と声をかけ、お替りのスイカをもらって戻ると少女の姿はそこにはもうなく…
家族からは座敷童をみたんじゃないか?と諭されるすずさんでしたが、この座敷童の女の子は実際に屋根裏に隠れて住んでいたのでした。
すずさんのばあちゃんはそれを知っていて、なんとなくかくまっていたのでした。
しかし、ばあちゃんがすずさんのためにこしらえた着物を着せてあげた時、男たちが押し入り、座敷童の少女を連れ去っていってしまったのでした。
ドラマ版はこのシーンをしっかりと現実の世界の出来事として描いています。
実は映画版では白木リンの登場シーンはばっさりカットされています。
ドラマ版の方が原作の漫画により忠実な作りと構成になるものと思われます。
原作の漫画、アニメ、実写、それぞれでそれぞれの表現を使って一本の原作を描くこの手法はメディアミックスと呼ばれるものです。
古くは90年代初頭の機動警察パトレイバーから、メディアミックスという言葉が一般的に使われ始めたと記憶しています。
最近だと「進撃の巨人」がその典型です。
「この世界の片隅に」もアニメ映画版とドラマ版を比較するよりも、表現方法がそもそも違うので実写とアニメの表現の違いを楽しむ気持ちでドラマ版を見ていくと、色々なディテールの細かい変更点やこだわりに気が付けるはずです。
その方がこの作品をより楽しめることは間違いありません。
ばあちゃんの家ですずさんが見た屋根裏の座敷童は白木リンとしてすずさんと呉で出会うことになります。
座敷童の正体は、父親に酒代欲しさに裕福な家庭に売られてしまったという生い立ちの少女でした。
ただこき使われるだけの使用人です。
こき使われるだけでなく、リンは使用人として使われている家の家族から虐待を受けます。
ある日リンは虐待に耐え切れずその家の人間をフルボッコにして逃走……
逃げ込んだ先がすずさんのばあちゃんの家の屋根裏だったというわけです。
原作と少し違うのは、ドラマ版では探しに来た男たちにつかまってしまう所です。
原作ではその後呉に行き、そこでいまで言う所のガールズバーのホステスとしてスカウトされて「二遊館」に身を置くことになります。
その辺、実写ではどのように描くのでしょうか?
ここからはちょっとネタバレっぽい内容も含まれますので、ご注意を。
かつての屋根裏の座敷童の少女リンは広島の呉にてホステスとなります。
そして周作となにか関係があるのか?
という疑問ですが、原作どおりに描写すれば、あります。
実は周作はリンと本気で結婚するつもりでした。
しかし家族をはじめ、まわりから反対にあい、断念。
すずさんはその後に北条家に嫁いだのでした。
ここは映画では描かれていない描写になります。
問題は、周作がすずさんと結婚後も白木リンとの関係を続けていたのか?
リンが道に迷ったすずさんと出会ってから、周作のお嫁さんだと気が付く描写が描かれるのか?
また、すずさんは夫の周作とリンの結婚以前の関係を知ることになってしまうのか?
そこまでは完全ネタバレになるので書きませんが、ドラマ版ではどのように描かれるか、楽しみにしたいと思います。
ドラマ版「この世界の片隅に」は予定どおりの放送スケジュールでいくと、終戦記念日の週に5話が放送されることになりますが、5話か、あるいは6話あたりで原作のどのあたりを描くのかも気になります。
このドラマを制作、放送するならたしかに夏クール7月~9月しかないとも思います。